店主からのごあいさつ


 子供のときに食べたコロッケの味が、いまでも忘れられません。近所のお肉屋さんで買ったコロッケです。揚げたてで、衣がさくさくしていて、じゃがいもの甘みが口のなかに一気に広がってきました。ソースがなくても、というより、ソースがないからこそ、じゃがいものおいしさを、よりはっきりと感じられたのかもしれません。

 

 私は共働きの家庭で育ったので、小さなころからお米を研いだり、簡単なおかずをつくったりと、料理が近い環境にいました。まねごととはいえ料理を通して家族が喜んでくれるのはうれしかったですし、兄が読んでいた料理人の漫画を通して、夢が広がっていきました。

 

 21歳のときに調理師見習いから料理人としての道を歩み始め、いくつかのお店に勤めました。料理長という役割を任せていただいたこともあります。

 

 「和食やすみ屋」は2012年9月にオープンしたお店です。東京都品川区の武蔵小山商店街と戸越銀座商店街という活気あふれる場所がそばにあります。店構えから高級割烹に思われることもありますが、そんなことはありません。四季折々の食材を気軽に楽しんでいただけるような料金設定にしています。大きなお店でもなく、だからこそお客さま一人ひとりに目を配ってお料理を提供できると考えています。それぞれのお客さまの食事の進み具合を見ながら、最適なタイミングで料理をご用意するように心がけています。

 

 食べ物で季節感を楽しめるのが、和食の良さだと思っています。「和食やすみ屋」では、旬のものをおいしく召し上がっていただけるように、季節ごとに扱う食材や調理法も変えています。もちろん、素材が良ければ余計な手を加えることはありません。私が子供のときに食べたコロッケと同じです。特に長崎県五島列島から産直で届く鮮魚は、魚本来のうまみを感じることができるはずです。

 

「今日もおいしかった」「やっぱり、この店がいちばん好きだな」「また食べに来ます」。そんな言葉を何度も聞きたくて、私は毎日調理場に立っています。

 

和食やすみ屋 店主

 日永康男


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